認定NPO法人 日本盲人マラソン協会(JBMA) 常務理事 鈴木邦雄
伴走は誰にでも出来るボランティアです。基本を知ることで「走りやすい・安心・安全」な伴走をご紹介します。
一人で走れない視覚障がいのある人のため、一歩を踏み出すきっかけにして下さい。
視覚に障がいのある人が伴走者と共にウォーキング・ジョギングをすることを言い、障害があるために単独で走ることはとても困難ですが、伴走者と言うボランティアがいれば可能となります。(弱視者は一人で走る場合もあります)
目ない・見えにくいために体を移動するスポーツが難しく、運動不足になりがちです。
視覚障がいのある人ほどウォーキング・ジョギングなどが必要とも言えますし、視覚障がいを持ってから走り始めた人もいます。そのお手伝いをするのが伴走です。
パラリンピック選手など競技レベルの選手から、運動不足解消のためにジョギングする人や、おしゃべりしながらウォーキングする人までさまざまです。年齢は子供さんから高齢のかたまで幅広く行っています。
競技レベルの選手を伴走する人や、家族を伴走する人、おしゃべりしながら一緒に歩くのを楽しみにしているなど様々ですが、多くはご自身がランニングなどを楽しんでいて、何かの機会に伴走を知り協力してくださる人が多いようです。
大会や練習会などで伴走者と共に走っている視覚障がい者見る機会が多くなりました。
一見して伴走者の人数は充実しているように思えますが、本当に伴走者が必要なのは日常の運動や練習です。仕事が終わって走りたいと思っても伴走者が居ないと走ることができません。このような時にスピードは遅いが一緒に走りますよ、走れないけど歩くだけでもと言って下さる伴走者が必要なのです。
スポーツに必要な「何時でも・何処でも・誰でも」に少しでも近づいてほしいと思います。
まず視覚障がいがあり、見えない(見えにくい)とはどのような事なのか、それが不安や不便や走る事の困難さなどを知ることから始まります。
そして常に相手の視覚障がいランナーに気遣いが必要です。見えないために足元や周囲に不安を持ちながら走っています。その不安を少しでも解消してあげるのが伴走者の役割だと言えるでしょう。
見えないために音に頼ることが多くあり、それを知ることが伴走に繋がります。
見えないために走る時の一歩が安心して踏み出せないと言われます。
その一歩を安心して踏み出してもらうためには、常に路面の状況や周囲の状況を伝える必要があり、危険個所だけでなく、安全も伝えることで伴走者に対する信頼感も高まり、気持ちもリラックスできます。言葉を切らさない事が大切で、無言は恐怖だと言われます。
一般には直径約50センチ程度の輪にしたロープを互いに握って走ります。
ロープも伸ばしたままで走る人、二重・三重にして伴走者との一体感を強くして走るなどさまざまですが、視覚障がいのある人が安心して走れるようにすることが大切です。
弱視者の場合にロープを使わず伴走者の背中を見ながら走る人もいます。
路面の凹凸や段差などはもちろん、自分ではなく相手のかたの「前」「横」「頭上」などにたえず注意し状況を伝えます。
伝える際には凹凸の区別、上り坂・下り坂、カーブや危険個所などの始まり・終わりを伝えて下さい。
ロープを使うなどのために、一人で走るフォームから遠ざかってしまいがちです。
フォームが崩れることは走りやすさに影響し、記録の低下・故障などに繋がります。
走る時に重要なことは手の振りです。自然に手を振ってもらう基本は「二人三脚」です。二人三脚のように足が出ることでお互いの手の振りが合います。
また、伴走者がロープ側の手を少し相手側に振ることで、視覚障がいのかたは自然な手の振りを得ることが出来ます。
身長差などで手の高低差がある場合なども、相手のかたの手の位置に合わせるなどで走りやすくなります。
どんなに注意しても、また習熟した伴走者でもお互いに違和感がある場合も有ります。その時に気軽に希望を言ってもらえる伴走者になってください。伴走してもらっているのだから我慢するのだと言う事よりも、希望を言ってもらえる打ち解けた伴走者になってほしいと願っています。
問い合わせ先(競技団体URLの窓口)
認定特定非営利活動法人 日本盲人マラソン協会(JBMA):http://www.jbma.or.jp/
伴走どっとCom:http://www.banso.com/