筋ジストロフィーは遺伝性で進行性の筋疾患で筋力低下という特徴がみられます。身体機能維持の取り組みは本人が欲求・興味・関心・探索を抱ける活動の中から始めます。
趣味活動や仕事を通し、障害受容と共にQOLの維持・向上に繋げていくことが必要となります。
作業療法士 中根麗名
(参考:難病情報センター、http://www.nanbyou.or.jp/entry/4147)
筋ジストロフィーは遺伝性で進行性の筋疾患です。骨格筋障害に伴う運動機能障害を主症状としますが、表1に示すように骨格筋以外にも多臓器が侵される全身性疾患であるといえます。
表1 筋ジストロフィーの病型
病 型 | 発症年齢 | 特 徴 |
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デュシェンヌ型 | 5歳以下 | 仮性肥大、登はん性起立(ガワーズ兆候)、動揺性歩行、関節拘縮・変形 |
ベッカー型 | 5~25歳 | 仮性肥大、関節拘縮は少ない |
肢体型 | 5~25歳 | 30歳以下で発症、上下肢の近位筋(肩・腰周辺)から障害・関節拘縮 |
顔面肩甲上腕型 | 顔面・肩甲帯・肩・上腕を中心に障害、進行は緩徐 | |
福山型先天性 | 出生時 | 知能低下、歩行できない |
筋強直性 | 30歳ごろ | ミオトニー(筋肉が緩みにくい)、顔面、頸部、四肢遠位部から発症 |
(参考:gooヘルスケア、http://health.goo.ne.jp/medical/10860200)
(参考:Care cure-MD http://www.carecuremd.jp/)
方法 | 期待される効果と留意点 |
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筋力訓練 | 幼少期からの発症には成長にあわせて運動発達に沿った動作で運動感覚の習得と心肺機能の向上を促す。等張性運動で低負荷・高頻度の条件下でリハビリでの徒手や機器を利用したトレーニングも行われますが日常生活動作や楽しみながら出来る活動が推奨される。
※留意点:使い過ぎることによる筋力低下を防ぐため適度な運動量で行われなければならない。 |
ストレッチ | 筋の短縮は徐々に脊柱の歪みや呼吸機能の低下にも繋がるため関節・筋の可動性の維持は重要。 |
生活動作訓練 | 生活に関わる動作全般で、出来る限り自立を促せるように効率よくかつ無理なく動ける方法の習得が必要。徐々に運動機能は低下し変形が進行していくため状況に応じ装具や支援機器の導入も積極的に行う。 |
装具・支援機器の利用 | 障害の進行に応じた車椅子や支援機器の適切な導入・選定をしながら出来る限り自立を可能とし身体・精神面での負担軽減を行う。 |
呼吸機能訓練 | 肺や胸郭の可動性を維持し、呼吸障害を出来うる限り遅らせるために行われる。 |
趣味活動 | 楽しみ・達成感・自信を得ることで精神安定につながる。 |
ハロウィック水泳法:浮き輪を使わず、スイマー自身の自然な動きの中でバランスをとる必要最小限の介助を行い、能動的な動きと呼吸コントロールを身に着けるようなプログラムです。
電動車いすスポーツ:より大きく上肢を使い身体を動かすことで呼吸機能の改善効果が期待されています。周囲との関係痙性や社会とのつながりが存在意義や精神安定にもつながります。
身体機能(筋力・関節の状態・運動能力)の維持・生活動作や活動性の維持に繋がります。
気分転換や達成感、社会との関わりから役割を得、自信と存在意義を見出すことができます。
その結果、前向きに疾病やそれによる障害と向き合えるきっかけとなり、QOLの維持・向上に繋がると考えられます。
(本文全体参考:日本筋ジストロフィー協会http://www.jmda.or.jp/)