健和会病院 理学療法士 宮島恵樹
こみゅスポ研究所 所長(代表理事) 塩田琴美
関節は動かさないと硬くなりやすく、痛みを生じたり、関節の動かせる可動範囲に制限を生じます。
そのため、日常的に各関節を動かすことで、硬くならないように予防することが大切です。
関節可動域練習とは、関節の拘縮を予防し、関節の可動域や機能を維持することを目的に行います。
関節可動域練習には、他者の力で動かす他動運動、自分の健側肢や他人の力を受けながら自分で動かす自動介助運動、自分の力だけで動かす自動運動があります。
関節の可動範囲は、年齢、性、障害特性などによっても異なります。対象者の各々のレベルに合った関節可動域練習の実施をしていく必要があります。
寝たきりや関節の動きが不十分であると、関節を構成する関節包、靭帯などの組織の弾力・柔軟性が失われ、筋・筋膜や結合組織が収縮することにより、関節の運動が制限されます。この状態を拘縮とよびます。
拘縮を起こしやすい部位としては、肩関節、前腕、手関節、膝関節、足関節があげられます。
拘縮になると、動作が制限されるなど、日常生活場面においても様々な問題が生じます。
痛みや緊張は関節の可動範囲を制限します。そのため、健側からはじめて患側を行うことが望ましいです。
可動範囲をゆっくりと全域にわたって動かすことが大切です。
痛みがある場合は、痛みがでる少し手前くらいまでを目安に動かすと良いです。
ただし、感覚障害などがある場合には、痛みを訴えられないケースもありますので、関節の最終域での硬い感じがするといった抵抗感の変化も目安にすると良いでしょう。
対象者自身が動かせる範囲は出来るだけ自動運動や自動介助運動を促しながら行うと良いです。
他動運動と自動運動の可動範囲に差がみられる場合には筋力の低下や筋の緊張の問題などの確認も行えます。
図1.2では一部の関節の運動方向の方法について記載をしていますが、原則的に各関節の全ての方向において行うことが望ましいです。
また、2関節筋*1の影響にも考慮して行うと効果的です。
他動運動で行う場合には、腰痛の防止や力の入る具合が変化をするため、実施者の位置や姿勢にも考慮して行ってください。
図1 上肢の関節運動
図2 下肢の関節運動