四肢切断とは?身体活動の必要性と阻害する因子

               

了徳寺医学教育センター教授 医師 橋本俊彦

こみゅスポ研究所 所長(代表理事) 塩田琴美

四肢切断においては、切断部位により保たれる筋力なども異なるため、筋力や関節の可動域の確保が重要となります。

障がい者スポーツには、切断者の方でも参加できる競技が多くあります。

四肢切断とは?

四肢切断とは、労働災害などの高エネルギー外傷によって手や足が身体から切り離された状態と、糖尿病・動脈硬化を起因とした血流障害によって生じた壊疽や腫瘍に対して手や足を身体から切り離す治療があります。

外傷で断端が存在すれば、骨、血管、神経、筋、腱、皮膚を繋ぎます。切断となった場合には義手や義足を作製し、社会復帰に向けてリハビリテーションを行います。慢性疾患による血流障害や免疫力低下による壊疽では切断術が選択され、同様の術後療法が行われます。

身体活動を阻害する因子

切断後には、図1に示すように、断端の循環不全、浮腫といった断端の管理が大切となります。

図1.創傷治癒に影響を及ぼす因子

断端に神経腫が生じると切断部の痛みが生じることや、切断された手足が残っているような感覚と痛み(幻肢痛)がみられることがあります。

また、切断後には切断された筋と残存している筋のアンバランスにより、拘縮が引き起こされやすい状態となります。

拘縮の存在は義足などの適合性や、歩行など動作に影響を与えるため十分に配慮が必要です。

身体活動を高める必要性

図2では、下肢切断の切断部位による名称を示しています。切断部位により、付着する筋も切断されるため、筋力は大きな影響を受けます。

図2.下肢切断の切断部位

 

  • サイム切断術(Syme amputation)は脛腓骨遠位端
  • 下腿切断術(below knee amputation)は下腿中位1/3
  • 膝関節離断(Knee disarticulation)は大腿骨より下位
  • 大腿切断術(above knee amputation)は大腿位1/3
  • 股関節離断術(Hip disarticulation)は大腿骨以下での切断術

また、年齢、性別、義足の適合性やアライメント、残存機能などにより断端の駆動力も変わってきます。

切断後には、特に筋力や関節の可動域を維持・向上を図るために、筋力トレーニング、関節運動に加え、全身を使っての運動に取り組むことが大切です。

障がい者スポーツは切断者の方でも参加できる競技も多く、ご自身の興味のある運動やスポーツから始めてみると良いでしょう。

障害者の余暇と就労の充実に向けて

これまで私たちは重度障害者の余暇の充実のため、障害者スポーツイベントの開催や、障害者スポーツのガイドブック制作などを通じて、障害者スポーツの普及活動を行なってきました。
2016年4月に法人を設立し、参加者も協力してくれるスタッフの数も増えてきましたが、財源が都などの助成金がメインであるために活動を拡大していくことが難しくなってきました。また、障害者の方々には、余暇だけではなく、就労意欲を持った方々も多くいらっしゃるため、就労機会を作りたいという思いがありました。

これまでも重度障害のある方々で就労意欲のある方は多くいましたが、通勤が困難なために就労できないという課題を抱えていました。この課題はリモートワークにより解決できるということが言われてきましたが、企業側でリモートワークが浸透していないためになかなか進みませんでした。

コロナの影響により企業側でのリモートワーク環境の整備が進んだこともあり、いくつかの企業様からリモートワークによる重度障害者の雇用に関するお問い合わせをいただくようになりました。
今後さらに「リモートワークによる重度障害者の就労支援」を広げていくため、この度、新たに法人「株式会社CMU Holdings(コミュホールディングス)」を設立することにいたしました。
取材やメディア掲載・講演会などお問い合わせ
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