ボッチャとは?起源や発祥、ルール、対象者、競技人口とスポーツ選手について

               

こみゅスポ研究所 所長(代表理事) 塩田琴美

ボッチャとは?

イタリア語でボールと言う語源の競技。ジャックボールと言う的球に他のカラーボールをいかに近寄せられるかを競う競技です。

起源や発祥、ルール、対象者、競技人口

ヨーロッパから始まった競技。1984年ニューヨークパラリンピックで初めて公開され1988年ソウルパラリンピックから競技が始まった。
対象者は脳性麻痺の障害を持つ人。(現在では脳原性の障害者となっている)
当時はBC1クラスとBC2クラスのチーム戦のみ。1996年にBC3クラス、2004年にBC4クラスができる。

現在、日本最高峰となる日本ボッチャ選手権大会参加者は200名を超える参加者となっています。

ボッチャの魅力は戦略と技術

つける、弾く、押すなどの技術を使い、どうジャックボールに自分の持ち玉を寄せられるかの戦略が魅力です。
トップアスリートになるとボールの上にボールを乗せる技や直接ジャックボールを狙うロビング(空中戦3Dなボッチャ戦略)の技を持っています。
最も盛り上がる瞬間は、つける、弾く、押すなどのショットが決まった時。選手や参加者が一番盛り上がります。
観戦する人も、選手と同じ目線で盛り上がります。選手と一体化して見れるのもボッチャの魅力です。

ボッチャのクラス分け

クラス BC1 BC2 BC3 BC4
対象 脳原性疾患 脳原性疾患 脳原性疾患
非脳原性疾患
非脳原性疾患
投球 可(足蹴り可) 不可 可(足蹴り可)
勾配具 × × ×
アシスタント × △(足蹴り選手のみ可)
その他 アシスタントに車椅子の操作、ボールを渡してもらうなどのサポートをしてもらえる 上肢での車椅子操作がある程度可能 自身での投球ができないため、アシスタントによるサポートにてランプ(勾配具)を使用する BC1・BC2と同等の四肢運動機能障害を有する(頸髄損傷、筋ジストロフィーなど)

※BC1~BC4の4クラスがパラリンピック等の国際大会対象クラスです。

 

また、日本独自のクラスとして「オープンクラス」が存在します。

オープン座位:BC1~BC4に該当せず、座って投球する選手。車いすの使用の有無は問わない

オープン立位:オープンクラスの中でも、立って投球が可能な選手。片麻痺や下肢の骨関節疾患など

 ボッチャをやる人の障害特性とそれに合わせたルールや道具

競技は、12.5m×6mのコートで行われます。

選手は2.5m×1mのスローイングボックス内でプレーをします。個人戦ではボックス③④(③が赤、④が青)、ペア戦ではボックス②~⑤(②④が赤、③⑤が青)、チーム戦ではボックス①~⑥(①③⑤が赤、②④⑥が青)を使用します。

BC1クラス、BC2クラス、BC4クラスにおいては手投げのクラスとなる為白いジャックボール1個、赤ボール6個、青ボール6個を使用します。
BC3の選手は、ランプでボールを転がして投球します。
近年は支柱付きのランプが中心で、ランプそのものの材質も、木製やアクリル製と様々です。

ボッチャを始めるために必要な準備は?

 いつからどんな順序で準備すればいい?

ボールまたはBC3クラスにおいてはランプがあれば、いつでも出来ます。

どのような場が適している?

基本的に屋内で行われる競技です。日本では木目の体育館が主流となっています。

ボッチャがよりメジャースポーツになるための課題は?

ボッチャは重度障害者の為の競技ですので、健常者を中心にした環境作りをし、重度障害者の方々が来やすい場所を設定して行けるよう普及や情報などが必要です。
メジャーな競技になるのは大変難しい事と思いますが、リオパラリンピックでBC1クラスとBC2クラスのチーム戦が銀メダルを取った事で近年ボッチャが皆さんの目に触れる事が多くなりました。
メディア、CMなどでも見る機会が増えました。
一度ボッチャをすれば、皆さん必ず楽しいと思ってもらえるはずです。たくさんの方々にボッチャに触れて欲しいと思います。

パラリンピックで最も障害が重い方々はボッチャの選手?

 現在のパラリンピック競技の中で最も重い障害を持つ競技はボッチャとなります。

 ボッチャの選手はなぜボッチャを選択するの?他のスポーツは?

実は、ボッチャを選択する選手は、ボッチャしか出来ない重度障害者の方々がほとんどです。
ボッチャは四肢麻痺の選手となりますので、日常の生活でも介助が必要な選手が出来る競技としてボッチャを選ぶ方々がほとんどかと思います。
パラリンピック種目にはない日本独自のオープンクラスがありますが、このクラスの方々は障害の状態が良い方々で、ボッチャを自分の競技として行っている選手です。

ボッチャに取り組む事でポロスポーツ選手として生計を立てられる?

一昨年よりボッチャで初めてボッチャでアスリート雇用を受けた選手が出ました。
重度障害者である事から障害者雇用も難しいとされていましたが、アスリート雇用を受ける選手が出る事は日本ボッチャ界で素晴らしい事です。

ボッチャの選手は普段はどのように収入を得て競技をしているのか。競技や仕事の両立は?

重度障害者の為、両立出来る方は中々おりません。
アスリート雇用の方はボッチャだけ、またはボッチャと仕事の両方をしながら収入を得ています。
アスリート雇用でなく障害者雇用の方も両立出来ている方はおります。障害者雇用の方は休日や平日の夜に練習する方がほとんどです。

ボッチャをアレンジして楽しむ事は出来る?またその方法は?

幼稚園での普及の際には危なくいように新聞紙を丸めて白と赤と青のテープで貼りボッチャ競技を行うやり方を教えます。
知的障害者の方には八角マットやフラフープを用いて分かりやすいルールで行なったりします。

障害者の余暇と就労の充実に向けて

これまで私たちは重度障害者の余暇の充実のため、障害者スポーツイベントの開催や、障害者スポーツのガイドブック制作などを通じて、障害者スポーツの普及活動を行なってきました。
2016年4月に法人を設立し、参加者も協力してくれるスタッフの数も増えてきましたが、財源が都などの助成金がメインであるために活動を拡大していくことが難しくなってきました。また、障害者の方々には、余暇だけではなく、就労意欲を持った方々も多くいらっしゃるため、就労機会を作りたいという思いがありました。

これまでも重度障害のある方々で就労意欲のある方は多くいましたが、通勤が困難なために就労できないという課題を抱えていました。この課題はリモートワークにより解決できるということが言われてきましたが、企業側でリモートワークが浸透していないためになかなか進みませんでした。

コロナの影響により企業側でのリモートワーク環境の整備が進んだこともあり、いくつかの企業様からリモートワークによる重度障害者の雇用に関するお問い合わせをいただくようになりました。
今後さらに「リモートワークによる重度障害者の就労支援」を広げていくため、この度、新たに法人「株式会社CMU Holdings(コミュホールディングス)」を設立することにいたしました。
取材やメディア掲載・講演会などお問い合わせ
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