健和会病院 宮島恵樹
こみゅスポ研究所 所長(代表理事) 塩田 琴美
脳卒中には脳の血管がつまる「脳梗塞」と脳の血管が破れ出血する「脳出血」や「くも膜下出血」があります。
よくみられる症状として言語障害、運動障害、感覚障害、視野障害、排泄障害、嚥下障害かあります。麻痺もさまざまであり障害の起きた部位や大きさにより症状に違いがあります。
脳卒中によりよくみられる症状・後遺症は、「言語障害」「運動障害」「感覚障害」「視野障害」「排泄障害」「嚥下障害」です。
神経症状の1つである言語障害は、脳の言語に関する機能を支配している脳細胞に損傷を受けることで起こる「失語症」と、口の周りや口の中がマヒしてスムーズに話すことができなくなる「構音障害」の2つがあります。
さらに失語症には「運動性失語」と「感覚性失語」が存在します。
また、構音障害には「弛緩性構音障害」ち「失調性構音障害」があります。
失語症は、脳の言語中枢に障害が起こると発症します。
話すことや、言葉を理解する、聞く、読む、などがうまくできなくなります。
言語中枢は左脳にあるため、左脳に梗塞や出血が起こると、失語症になることがあり、失語症には「運動性失語」「感覚性失語」「健忘失語」「伝導失語」「全失語」があります。
失語症 | |
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運動性失語 | 相手の話していることを理解することはできても、それに対して思った通りに話せなくなる。 |
感覚性失語 | 感覚性失語とは、話すことはできるが、相手の話していることが理解することができない。そのため、的外れなことを答えることが多くなる |
健忘失語 | 聞いて理解する力はしっかりあるが、言葉がうまく思い出せないため、回りくどい言い方や話し方になる |
伝導失語 | 伝導失語とは、聞いて理解する力はあるが、言葉を言い間違えるといった錯語が多くなる。 |
全失語 | 全失語とは、重度の失語症で、「聞く・話す・読む・書く」などのいずれにおいても意味が通じる形で表現することがほとんどできない状態である。 |
構音障害とは、話すことに関する筋肉の運動障害のことです。
顔の筋肉、唇、口の中などの言葉を話すための筋肉が麻痺してうまく話せなくなります。(失語症とは違い、言語中枢が損傷しているわけではないので、言葉を理解したり、文字を書いたり、本を読んだりすることは可能)。
構音障害 | |
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弛緩性構音障害 | 相手の話していることを理解して、それに対して答えることができるが、舌が回らないためにうまく話すことができない。 |
失調性構音障害 | 話をしたときに、リズムが乱れる、繰り返しの言葉がうまく言えないなどの症状が起こる。 |
脳卒中の代表的な運動障害は、顔を含む体の亜州どちらかの手足や体感に麻痺が起こります。
麻痺の程度は、重度のものから軽度のものまで様々です。
また、自分の意志とは別に、手足などの身体の一部もしくは全体が動いてしまう「不随意運動」や、めまいやふらつき、バランスが悪くうまく歩くことができない「運動失調」の症状が出現することもあります。
運動障害の麻痺には、片麻痺いがいにも、手もしくは足の左右どちらかだけ麻痺する「単麻痺」、両足が麻痺する「対麻痺」、両手両足が麻痺する「四肢麻痺」などがあります。
高次脳機能障害とは、言語・記憶・思考・行為・学習・注意などに障害が起きた状態のことです。
身体に症状が出るような目に見えるような症状ではないもの、例えば、言葉を理解してはなしたり、物事を判断したりするなどの高次な精神活動が難しくなります。
脳卒中によりみられる高次脳機能障害は、上記で述べた言葉の障害や「記憶の障害」。「行為の障害」、「認知の障害」などがあります。
脳卒中による機能障害のレベルは様々であり、手指の小さい動き(巧緻動作)から歩行動作(粗大動作)、日常活動動作といった形で、個々に応じた形でリスクに配慮をした形で行うことが望ましいです。
特に、麻痺がある場合には、関節可動域練習を中心に、筋の緊張の調整や感覚系のトレーニングなどを取り入れて行うことも大切となります。
こういったものが単一的にならないように、個人のレベルに合わせレクリエーションなど楽しめる要素を入れて取り組むと良いでしょう。